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2013年6月

2013年6月

草原の輝き6月

かぞくのはなし

中学の時、ワルぶった奴がいた。
背は高いがあまり強くないので
、自分より弱いと思える相手を選んで悪さを仕掛けていた。
その順番がたまたま回ってきたのか、ある晩、
家の外に呼び出された。ゆえなくこづくので、胸を一撃して逃げた。

体は小さいがすばしっこいので、車のまわりをぐるぐる回って逃げたら、
あきらめて、もういいからボクシングをやろうと言う。
顔には手を出さないルールで、
それならけっこうこちらもうまいので応じたら、
なんと股間ばかり狙ってくる。

そのうち、家の前に座っていたわが家の茶色の雑種の子犬が吠えながら
一生懸命奴の体に跳びついた。
ワルもどきは小犬の剣幕に恐れをなして帰ってしまった。
そんな小さな体で、すわご主人様の大事と吠えつくなんて、予想外だった。
でもあの犬はいつまで家にいたんだろう。

 学生時代に下宿して、深夜のアルバイトの帰り道、
何も言わないのに夜目にもわかるように
嬉しそうに尻尾を振ってそばにきた子犬がいた。
一緒に帰るか、と言うと嬉しそうについてくる。
途中で食堂か何かの食べ残しの弁当を見つけて、
フタをとって食べさせたら、本当にうまそうに食べる。
お腹がすいていたんだ。それから20分ほど歩いて下宿に着いた。
1階の部屋だが犬の寝る場所はない。
ゆるやかな縄で首輪をつけて縁側のそばに座らせたら、悲しそうだった。
茶色の子犬でやはり雑種だった。
翌日朝、目覚めると犬の姿はどこにもなかった。

西荻窪に住むようになって、それまでのマンション生活から一人になって
木造アパートに引っ越した。
1階にしたのは庭があって、その向こうに広い生産緑地が広がっていたからだ。
しかもそこは、どうやら野良猫のたまり場らしかった。
越してすぐに、茶色の子猫が気に入った。
何かの血がまじっているらしく、尻尾が広がって優雅だった。
子猫はあっというまにわたしの家族になった。
もちろん飼い猫禁止なので、庭にダンボールで家をつくってやった。
そのうちもっと小さな黒ネコも家族になった。

子猫たちは「散歩に行くぞ」というと、嬉しそうについてくる。
畑を一周し、庭で遊んでやると大喜びだった。
あとで聞いたのだが、ネコと散歩するおじちゃんとして有名だったそうだ。

夜が遅くて、雨戸を閉めて遅くまで寝ていると、
雨戸を2匹でよじ登って窓からのぞいている。
体の調子が悪いのか、畑のビニールの下に寝ているのを見つけた時は
病院に連れて行って治した。誰かにいたずらされて後ろ足がぶらぶらした時は、
遠い他県の犬猫病院に入院させた。
2週間過ぎて迎えに行ったら、
まわりの人が「野良猫は逃げてしまいますよ」と心配する中で、
子猫のミーちゃんはわたしの手に頬をすりつけていつまでも離れなかった。

 転居して、猫を飼えないと困っていたら、もらい手がいて、
猫とは別れることになった。もらい手の家に預けて帰ったが、
「何ヶ月も窓の外ばかり見ているんですよ。
よほどあの畑で遊ぶのが好きだったんですね」
もらって頂いた方がそう言っていたという。
返事のしようがなかった。
その姿を思うと、裏切者のように、ずっとあとあとまで胸が痛んだ。 

今でも、立派な血統付きの犬や猫より、
雑種の茶色の犬や猫をみると、思わず声をかけてしまいそうになる。
その顔が、悲しそうだったら、どうしたらいいかわからない。

ミーちゃん

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