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2013.1.19

2013.1.19

みなさま

昨日、南相馬へ行ってきました。

いつもの様に7:36発の新幹線に乗って福島駅で下車、
そこから原町駅前行きのバスに乗りました。
バスは渡利大橋を過ぎて道が山間部に入ると、
通い慣れた道でも雪景色なので知らない道を行くようでした。
山も大地も真っ白で、頭上には青く澄んだ空。
飛行機が真青な空に白く長く尾を引いて、飛んでいきます。

川俣町の人家の中を過ぎて飯舘村に入ると、
人家の前にももう雪掻きをした跡はどこにも見られません。
田畑の上は白一面、その先に続く山も雪化粧。
家々のの木には長いつららがぶら下がっています。

陽に照らされて溶けた滴が落ちるのに震えてでしょうか、
樹上の雪が風もないのにハラハラひらひら舞い落ちます。
小さな雪の破片が陽光にきらきらと輝き舞うのです。

「ああ、なんてきれい!」と私の目はそれを眺めるのに、
思いは「ああ、なんて恐ろしいこと!」と
針葉樹の葉に積もった放射能が舞落ちるさまを思うのです。

飯舘村から福島市に避難している女性が言った言葉を、思いだします。
一緒に福島駅前の並木道を歩いていた時のこと、
きれいな紅葉を見て彼女が言いました。
「今はもう、木を見ても怖くて仕方がない」と。
放射能は、こうして私たちの感性をも壊していくのだと思いました。

昨日は鹿島区のお寺さんに頼みたいことががあって行ったのですが、
訪ねる前に少し時間があったのでまた小高区に行ってみました。
六角支援隊の根本内さんに、乗せていってもらったのです。
前回行った時よりも倒壊した家々の撤去は進んでいて
、蔵作りという建て方の立派な家はもう陰も形もありませんでした。

小高区は昨年4月16日に警戒区域解除になり、
住民は昼間は自分の家に戻れますが、泊まることはできません。
小高区内の国道や県道は、少ないとはいえ車の通行もあって
道路の雪は消えていましたが一般道は轍跡さえもありません。

国道県道も、道路の脇は雪がアイスバーンになって残っていますし、
歩道はまったく歩ける状態ではありません。
でも、その国道6号線を向こうから、
両手に袋を下げて歩いて来る女性が居たのです。

自宅に何か必要な物を取りにいって、戻るところだったのでしょう。
バスも通っていないので、自家用車が無ければ歩くしか無いのです。
自転車では雪道も危険だからと、歩いて行ったのでしょう。
女性を見かけた宮田川橋の辺りから、
原町で現在人が住んでいる家々がある辺りまでは10㎞ほどあるのです。
女性は、どんなことを考えながら歩いていただろうか、と思いました。

小高区から戻ってかし幕のお寺さんへ行く前に、
根本内さんの実家に寄りました。
南相馬市の小浜区ですが、20キロ圏内ですから
小高区と同じく昼間は帰れますが夜は泊まることはできません。

津波は床上1.5mほど被りましたが、その前に家族は避難し、
また家は壊れずに無事でした。
ところがその後、ガラスが破られて泥棒に入られたと、
根本内さんは言っていました。
鹿島区のお寺さんで、ご住職がこんなことを言っていました。

「この間家で新年会やった時だけどな、門徒さんたちが言うんだよ。
『もう今年はがまんしねぇ。茸を食うんだ』ってね。
一昨年はもちろん、去年もみんな喰わなかったからな。
秋になればみんな山に茸採りに行って、食べてたもんな。
だから俺も言ったのよ。『よーし、じゃぁ今年は茸汁やっぺ。
みんな80過ぎた年よりだからいいっぺよ』って言ったんだ」

春の山菜摘み、秋の茸狩り、川や海での魚釣り、
磯の貝拾いや海藻採り、みんな奪われた暮しです。

鹿島区での用事を済ませ、夕べは六角に泊まりました。
今朝はまた小浜の海べりに散歩に行きましたが、前回白鳥を見た辺りは水が凍っていて今回は白鳥は見ませんでした。

白鳥は見ませんでしたが、鴨の種類でしょうか、
やはり留鳥ではなく渡り鳥の群れが凍っていない水辺にたくさんいました。
出かける前に読んできた新聞で、
広野の湾内で捕れた魚から20数万ベクレル検出というようなニュースを読みました。
渡り鳥たちは汚染された魚を食べて、
春になればまた北に帰っていくのでしょう。
そうして、放射能は運ばれていくのでしょう。
今、ここに在る命も汚され続けていますが、遠い地でもまた。

明後日から成都に行く用事が出来たので、
今回は仮設住宅も廻らずに一泊だけで夕方南相馬から帰宅しました。     いちえ         
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